喘息(ぜんそく)は本当につらいことのようです。私自身は経験がないのですが、風邪をひいてゴホンゴホンと
やっている時のことを考えると、あれがずっと続けば随分つらいだろうな、と思います。たいていは背骨がズレていますから、
それを調整すれば静まるようです。
●肩が硬い方
激しい喘息(ぜんそく)は、 もうゼイゼイと息が鳴り、その音を聞いているだけでも苦しくなりそうです。重い荷物を持ち上げた時に背中をぎくっとなり、それ以来、
はげしい咳き込みとゼイゼイが続いている、病院に行ってクスリをもらったけれど、よくならない方。背中を見ても、それほど大きくズレているところがあるようには思えないが、背中の上の方、くびに近いあたりが少しずつズレがあります。
背中の上の方は、肩の周辺にある筋肉にひっぱられていますから、 いきなり背骨の調整にかかっても無理でしょう。まず肩を整えることから始めます。
左の肩を右手で押えて腕を持ち上げてみると、水平くらいまでしか上がりません。
これは肩がとても硬くなっている。いつ五十肩になっても不思議ではないような悪い状態です。
鎖骨を押さえて腕をグルグル回す方法で、まだ少しひっかかり感があるものの、肩がよく回るようになったところで、
背骨の調整にかかります。こうしておけば、背骨が肩の硬い筋肉にひっぱられることがありませんから、
調整しやすくなります。
●背中の上の方がおかしい
よく見ると、背骨の上の方、くびの下、肩甲骨のあいだにある部分の骨が軒並み左にずれている。
わずかなので、見た目にはわかりにくいのですが、さわると痛い。 そこでズレを丁寧にひとつずつ取り除いていくと、息が少し楽になってゆきます。
喘息(ぜんそく)のセキや呼吸困難は、このように背中の上部の骨を調整するだけで、
すぐに楽になることがめずらしくありません。この方のばあいは、背中のどこかが急に狂ったために、
それに続いて上部の背骨が軒並みズレてしまったものと思われます。そのあと少しずつ悪くなってきたという。
小児喘息(ぜんそく)もおなじ原理でしょう。クスリを投入してもよくならないものが、骨のズレを調整すると、
即座によくなることも多い。ズレを軽視してはならないと思います。
●首の調整も必要
首の骨と喘息(ぜんそく)がどう関連しているのかは分かりません。考えられるのは、
肩と首とが密接に関連していることです。というより、肩と首と背中の上部は密接につながっています。
一体のものだと言ってもいいくらいです。ですから、このどこかを調整してもよくならないものが、
全体を調整することでよくなる場合が少なくありません。
●頭の中も関係が
お孫さんの 喘息がずっと続いていて、病院にかかっても一向によくならない。「癒道整体」の本に関係している話しが書いてあったので、
頭の蝶形骨を調整する方法(といっても小指の横をちょっと押さえるだけですが)をやってみたところ、
うそのようにピタッと咳が止まった、それいらい咳が出ていないとおっしゃるのです。
蝶形骨というのは、目の後ろの骨というか、頭を左右に貫いている骨というか、奥の方にある骨で、直接は触れません。
これが手指の反射を使うと簡単に調整できてしまうわけです。それで咳が止まるとすれば、蝶形骨と呼吸器のあいだに
結びつきがあると考えられますね。体のあちこちの部分は、それぞれ複雑にからみあっているらしい。
不思議なことですけれど、これは事実としかいいようがありません。現在の生理学では説明がつきませんが、
しかし効果があるのであれば、だれでもこれを試してみようとするのは自然でしょう。
当処の庭にて
●自分で生き生きした身体を作ること
このように、ひどく咳き込む人のからだを調整すると、セキが楽になったりゼイゼイが少なくなります。気管支に炎症が生じてセキが出るには違いないが、その炎症はなぜ生じるのか。
ここが問題のポイントです。背骨のズレが炎症の原因になっていることが多いと思われます。
これを見逃していては、いくらクスリを投入してもよくならない。逆に、背骨の歪みをとってやると、
簡単に症状が消えることがあるわけです。
誤解のないように念をおしておきたいのですけれど、整体の目的はセキを止めることではありません。
セキがでるような身体の状態を作り出している条件を改めることにあります。この場合でいえば、
セキがでる原因になっていると感じられる頸、肩、背中の状態を作り出しているのは何かと突き止めること。
それから、この原因をどうすれば取り除くことができるかを一緒に考えることです。
野口晴哉さんは整体の目的について、このように書いておられます――整体の目的は身体を生き生きした状態に戻すことだけではない、
むしろ自分の力でそのような状態を作り出せる人を増やすことだ――。